ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

それからしばらく、三人で館の中を歩いた。

おそらく、目的地である『関所』とは、この館の中にあるのだろう。

シュヴァルツさんに連れられるがままに歩いているけれど、彼は一向に館の外へは出ようとしないからだ。

そもそも、この館には窓がなく、玄関口らしき場所にもたどり着かない。

まるで館の外に出ることは想定されていないかのような造りになっている。

高い天井にシャンデリアが等間隔に続いている廊下を抜けると、いつの間にか私たちの他に人の姿はなくなっていた。

とある一室の扉の前で立ち止まり、シュヴァルツさんは周りを見渡してから、その扉を開けた。

「入れ」

彼の呼び掛けで中へと入ると、ひとりでに部屋のシャンデリアの灯りがつき、扉が閉まった。

何もない場所だ。

ダークブラウンの絨毯が敷き詰められたただの広間で、さらに奧にもうひとつ重苦しい鉄の扉があるだけ。

あの向こうは、一体何だろう。

「アカリ」

「は、はい」

シュヴァルツさんに名前を呼ばれ、もう口を開いていいのだと分かった。

「そこへ座れ」

< 34 / 209 >

この作品をシェア

pagetop