ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
どこへ?と思ったが、とたんに何もない広間の中心に突然小さな黒い椅子が現れる。
これくらいのことではもう驚かない。
彼の腕の中を離れ、言われた通りそこへ座った。
「ノア。問題が起きた。館に人間が紛れ込んでいる」
「えぇ!?」
「コレだ」
シュヴァルツさんは親指で私のことをさした。
私は肩をすぼめる。
ノア君は丸い目をさらに真ん丸くして私を見たあと、勢いよく私から距離をとり、シュヴァルツさんの後ろへと隠れた。
こうして椅子に座らされて、避けられて、容疑者になった気分。
何も悪いことはしてないんだけど。
気分が重くなり、下を向いた。
「なぜ人間が館にいるんです!?」
「暖炉の歪の向こうでヴァンパイアに襲われていた。手を伸ばしたら、何故だかこちら側に連れてこれた」
「ヴァンパイアが人間を?なぜです?……いやいやいや!そんなことよりまずいですよシュヴァルツ様……人間を連れてくるなんて……」
私がここにいることは相当困った事態らしい。
ノア君の表情で、それがどれほどか私でも察しはつく。