ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
すると、隠れていたはずのノア君がそばへ寄ってきて、大きな目をパチクリさせて覗き込んできた。
「あ、あの、何か……?」
「驚きました……。人間というのはなんて不思議な生き物なんでしょうか。我々の種族では自ら謝罪をする者などおりませんのに。なんて素直で、優しい……」
続いてその横からシュヴァルツさんの手が伸びてきて、私の頬に触れ、俯いていた顔を持ち上げられた。
手袋をしているせいで体温は感じないけれど、その指先はとても優しい。
彼の指は私の目尻を拭い、その次に頭に手を置いた。
「アカリ。少しは自分の心配をすることだな」
彼は、また魔法のように私の対面に皮張りのソファを出現させると、そこへ腰かけ、足を組んだ。
彼の黒く光る革のブーツが、カチンとぶつかる音がする。
ノア君もその横に姿勢よく立ち、私と向き合った。
話ができる体勢になり、やっと落ち着いて彼らと話せることに安堵した。