ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
「ここは人間界と、俺達の住むヴァンパイアの世界の狭間にある、『ヴァンパイアの館』だ」
「ヴァンパイアの館……」
初めて聞き覚えのある言葉が出た。
『ヴァンパイアの館』は月夜ヶ丘にあるものと同じ名前だ。
同じ建物のはずはない。ここはそもそも人間界でもないのだから。
私はあそこで暖炉に隠れていて、シュヴァルツさんはこちら側の暖炉からそれを見ていた。
“世界の狭間”……ふたつの館は、繋がっているということ?
納得がいった。
そんなことは、すでに魔法のような非現実的なことをいくつも見せられた今では、改めて驚きはしない。
手の震えはおさまらないが、冷静になろうと彼らの話に頷いた。
「私は違う世界に来てしまったということですか。ヴァンパイアの住む世界に」
驚いている自覚はなかったはずだが、私は声も震えていた。