ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
「それが俺が休暇をとっていた間にこのザマだ。代わりの門番が見誤り、悪しき輩を人間界へと通したのだろう」
「ホントですよ!シュヴァルツ様が門番だったときはこのような事件は一度も起こらなかったのに!」
なるほど……。
シュヴァルツさんはヴァンパイアの世界の高官で、館の門番。
彼らの世界にも地位があるということだ。
不思議に思ったけれど、彼はこの世界の偉い人で、私を助けることに理由もあるのだと思うと、合点がいった。
高官の職に就いていると聞いてさらに納得したが、シュヴァルツさんには高貴で厳格な雰囲気がある。
彼を突き動かしているものは高官としての“正義感”なのかもしれない、そう思うと、シュヴァルツさんという人について、やっとひとつ掴めた気がした。
「分かるか、アカリ。俺は悪しきヴァンパイアを捕らえることに尽力せねばならない。お前が帰れるのはその後だ」
「……はい。なんとなく分かりました」
「まずは指揮官の『ネロ』に話を通す。なに考えているか分からない爺さんだが、何とかするはずだ」
ネロさんというのが誰だかは知らないけれど、とりあえず頷いた。
シュヴァルツさんのそばにいればきっと大丈夫。
彼の正体を知ったことで、今まで以上にそう思った。