ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

静寂、冷たさ、誰かの声がするたびに震える体。

ひとりでいるときの感覚を私はよく知っている。

それは忘れようとしても忘れられないものだ。

それをまた、こんなよく分からない場所で味わうなんて……。

迷惑をかけたくないと思っているはずなのに、ここでシュヴァルツさんに置いていかれるのは寂しくてたまらない。

泣き出した私を見て、ノア君はおろおろと焦り、シュヴァルツさんはまたため息をつくと、私の目尻を指で拭った。

「人間とは不思議な生き物だ。よくそのような、反吐が出るほど素直なことが言えるものだな」

彼の言葉は冷たいけれど、指先は驚くほど優しく触れている。

「だって……」

「悪いが聞き入れられない。館で待っていろ。お前を下界に連れていくことは危険すぎる」

ノア君は泣き続ける私の近くに寄り、ポンポンと背中をさすった。

「ノア君……」

「安心して下さいアカリ様。シュヴァルツ様におまかせすれば、必ず人間界へ帰れますから」

ノア君の笑顔に、今はこれ以上ないくらい救われた。

彼はここに残ってくれると言っている。

少しの間、ノア君と一緒にここで留守番をしていればいい。そうすれば、人間界に帰れる。

うん、大丈夫。待っていよう。

そしたらすぐに私を襲った悪いヴァンパイアも捕まって、月夜ヶ丘の館に戻れる。

そうだよね……?

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