ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

彼と密着しているせいで、私の身が固くなっているのは恐怖のせいなのか、緊張のせいなのか分からなくなってくるが、このピンチを全身が感じ取っているのは間違いない。

外の人たちはこの扉の鍵を手に入れたらしく、それを鍵穴に差し込んでこじ開ける音が、まるで私の心臓を抉るように室内に響き渡る。

実感のなかった危機が一気に身近に迫ってくるようで、私はその恐怖についに涙が溢れ、過呼吸になった。

「シュヴァルツ様!見つかればアカリ様が人間であることがバレてしまいます!」

「声が大きい。……面倒だ。アカリ、ノア。悪いが予定を変更する」

「ど、どうするんですか?」

「このままお前らを連れて下界へ行く」

シュヴァルツさんの腕が、今度は私の肩と脚の下に入ってきて、軽々と抱き上げた。

所謂“お姫様抱っこ”となったが、今はこれを遠慮するような心の余裕はなく、私は離れないよう彼の首にしっかりと腕を回した。

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