ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
「ごめんなさい……。そうとは知らずに、私、勘違いをして……」
「目的以外に興味を持つな。謝罪も不要だ。そんなことではヴァンパイアにつけこまれるぞ」
彼の言葉は相変わらずそっけない。
強い意志を持った彼の瞳を頼もしく感じつつも、馴れ合いをしないヴァンパイアという種族を不思議に思った。
私は人と距離を置いているから分からないけれど、人は誰かと何かを分かち合って生きている。ヴァンパイアはそうではないのだろうか。
私と同じで、皆ひとりきりなのだとしたら、どうしてそんなに強く生きられるんだろう。
彼らを別物に感じつつ、目の前のふたりを見たとき。
「……でも、シュヴァルツさんとノア君は、特別ですよね」
ふたりには、他のヴァンパイアたちにはない信頼関係があるように見えて、それにすがる気持ちで確認のために尋ねた。
それが今の私の中で、ヴァンパイアというものが騙しあうだけの悪党ばかりではないという証明であり、安心できる唯一のものだった。