ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

シュヴァルツさんに怒られた後で、ノア君がフォローしてくれる。

ふとそれが何度かあったことに気がついた。

疑り深くて他人と馴れ合わない種族がヴァンパイアだというのなら、ノア君はヴァンパイアらしくない。

厳しいシュヴァルツさんと、人懐こいノア君。

ふたりと一緒だから、私はこの世界でも、こうして冷静でいられる。

「ありがとうございます、ノア君」

「かかか、感謝をされたのも初めてです……」

ふたりのことを知るたび、嬉しい反面、複雑な気持ちもあった。

彼らが人間ではないからすっかり忘れていたけれど、私が関わると、いつも不幸なことが起こる。

このまま彼らに甘えていたら、きっと良くないことが起こるのではないか、と。

この事件に巻き込まれているのは私のようでいて、本当は違うのではないだろうか。

そんな不安が、ふと頭をよぎったのだった。


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