ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

「あの。館には、どうしてあんなにたくさんのヴァンパイアが集まっていたんですか?」

館からこの下界へ来てから、ずっと疑問に思っていた。

『ヴァンパイアの館』は人間界とヴァンパイアの住む下界の境界で、そこからどちらの世界へも行くことができる。

最初にシュヴァルツさんからそう聞いた。

ただの通過点でしかないあの場所に、なぜあんなにも多くのヴァンパイアたちが集まって宴を開いていたのか疑問だった。

「人間界に行けるのは一部の優れた権利者のみで、多くのヴァンパイアが人間界へは行けずにくすぶっているのです。館は人間界に一番近い場所ですから、上流階級のヴァンパイアたちは時折ああして館へ集まり、夜通し宴を開いて過ごすのですよ」

「へぇ……それって、楽しいんでしょうか……?」

私が首を傾げると、シュヴァルツさんは答えた。

「人間も山や森を愛でながら木を切り開く。それと同じだ。奴らも本当は人間の血を吸い尽くしたくてたまらないのだろうが、館から舌舐めずりをして、森を鑑賞するにとどめている」

シュヴァルツさんがヴァンパイアを人間に例えた話を聞いて、館にいたヴァンパイアたちの本質がよく分かった気がした。

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