千一夜物語
そういった書物も今まで読まなかったし、今黎にされていることがどの程度過激なものなのか澪は全く分からないでいたが…

かなり、過激なことをされていた。

声は上ずりすぎて掠れてしまったし、身体に力が入らず黎の剥き出しの肩や胸に手を置くと、とても熱くてそれで自分の身体も同じように熱くなっていることに気付いた。


「駄目だ…これ以上は歯止めが利かなくなる。ほら、ちゃんと着て」


澪の胸の谷間を楽しんでいた黎が顔を上げて浴衣をちゃんと着させると、息が上がりすぎて過呼吸気味になっていた澪は酒を一気飲みして黎にもたれかかった。


「鬼族は貞操観念が低いから所帯を持たない限りは沢山遊ぶ者が多いって聞くけど私は違うんだから。黎さんは…すごく遊んでそうだね?」


「すごくというわけでもない。いい顔に生まれつくと女が寄って来るから自然と経験値が高くなるだけだと言っておく」


「あはっ、自分でいい顔って言っちゃった!女たらし。助平」


笑いながら責められて肩を竦めた黎は、ご丁寧に敷かれていた床を横目ににやりと笑って澪のぷよぷよの頬を甘噛みした。


「期待していたんだな?」


「えっ。だ…だって…女子の部屋に来るなんてそれしかないと思って…」


「月のもの問題があるんだからするわけない。そこまで急いてはいないからな。だが…つきましては正式に嫁として貰い受けるとそちらの両親に文を送りたいんだが」


ぱあっと顔を輝かせた澪は、黎の手を引っ張って床まで来ると、ころんと寝転んで黎の手をきゅっと握った。


「よろしくお願いします。私と神羅ちゃんを幸せにしてね」


「神羅、か…」


それが大問題なのだがひとまず置いておいた黎は、澪の笑顔に癒されながらぎゅうっと抱きしめた。

神羅は恐らく首を縦には振らない。

縦に振らせる方法を考えなければと思いつつ、澪に不安を与えないよう髪を撫でてやりながら目を閉じた。
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