年下御曹司は初恋の君を離さない
これは確かに覚悟が必要かもしれない。
じわりじわりと包囲網を狭められている。そんな気がしてならない。
慌てふためいている私を余所に、紀彦はお茶を美味しそうに飲んだあと、ニシシと意地悪く笑った。
「でも、まぁ……安心した」
「紀彦。この状況のどこに安心できる要素があるというのよ」
確実に包囲網を狭められている状況だ。とても安堵している場合ではないと思う。
憤慨する私をチラリと見たあと、紀彦はズズッとお茶を飲んだ。
ああ、美味しい。そう言ってゆったりとした様子で再びお茶を口に運ぶ紀彦。
さすがに姉は怒るわよ、と眉間に皺を寄せていると、紀彦は嬉しそうに笑った。
「姉ちゃんさ、大学生のとき、男性不信に陥っていたじゃん。ここ最近はましになってきたみたいだけど、男と付き合っている様子もないし。なにより、男と距離を置こうとしていないか?」
「うっ……」
「なにより、姉ちゃんが大学四年のとき」
「っ!」
「あのときはどうなることかと思ったけど……あれ以降、本当に男と近づこうとしないよな。姉ちゃん、絶対にモテるはずなのに」
「……モテないわよ」
「はいはい。そういうことにしておいてやるよ。だけどさ……友紀だけは大丈夫そうじゃん?」
「え?」
驚いて顔を上げると、紀彦も驚いたように私の顔をまじまじと見つめてくる。