年下御曹司は初恋の君を離さない

 それを見たお父さんは何か言いたげにしていたが、コホンと咳払いをして話を無理矢理ぶった切る。

「未来を嫁に出すかどうかは、まだ考え中だ。君たちはまだその段階にまでいっていないだろう? 私としては、君は紀彦の友人だということで気を許しているだけだ」
「はい、わかっています。ですが、俺にその覚悟があるとだけは覚えておいてください」

 キレイな笑みから一転、真剣な眼差しでお父さんに宣言する友紀ちゃんは目が離せないほど格好いい。
 ドキドキしすぎていることを周りの皆に悟られないよう、落ち着けと必死に自分に言い聞かせた。

 今朝から……ううん、友紀ちゃんが私の前に現れてからというもの、何度こんなふうに苦しいほど胸がドキドキしているだろうか。本当に心臓に悪い。

 とにかく何か別のことを考えよう。テーブルに置かれていた急須に手を伸ばし、まだ中にあったお茶を湯飲みに入れる。そして、それを一気に飲み干していると、友紀ちゃんが話しかけてきた。

「じゃあ、未来さん。おでかけしましょう。せっかく久しぶりのオフができたんだし」
「え?」

 友紀ちゃんは今、なんと言っただろうか。おでかけとかなんとか言わなかったか?
 湯飲みを片手に固まりつつ顔だけ友紀ちゃんに向けると、彼は屈託なく笑った。

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