年下御曹司は初恋の君を離さない

「そんな態度を取っていいのか? 未来」
「は……?」

 慌てて振り返ると、彼は腕組をしつつ流し目で私を見つめていた。
 長い足はゆったりと組まれており、より大人の色気を感じてしまう。

 だが、今の私にはそんなことはどうでも良かった。
 彼を鋭い視線で凝視していると、壁に寄りかかっていた藤司さんは、体勢を整えて一歩一歩と私に近づいてくる。

 早く逃げなくては、と心の中で警鐘が鳴り響いているのに、身動きができなかった。
 誰もいない静かな踊り場には、彼の革靴の音がコツコツと響く。
 そして、私の前に立つと、彼はいきなり私を抱きしめてきたのだ。

「ちょ、ちょっと! 藤司さん!」
「……」
「は、離して!」

 必死に彼の腕の中から脱出を試みるものの、抜け出すことができない。
 それどころか、より強い力で抱きしめられてしまっては、抵抗もできなくなってしまう。

 身体を硬直させる私の耳元で、藤司さんは甘く囁いてきた。
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