年下御曹司は初恋の君を離さない

「お前の上司。うちと取引したいんだろう?」
「っ!」
「せせらぎはどんな企業からビジネス話を持ち込まれても、首を縦に振らなかった。それなのに、社長と面通りをさせたんだ。小華和副社長の頭の中は、今後の展開をどう持っていくのか。そのことで頭がいっぱいだろうな」
「……何が言いたいんですか? 何を考えているんですか!」

 確かに藤司さんが言う通りだと思う。
 どんな企業から声がかかったとしても、老舗和菓子店のせせらぎは誰とも手を組もうとはしなかった。
 それなのに、あっさり藤司さんはせせらぎの社長と友紀ちゃんを会わせた。これは意図的に対面させたということなのだろうか。

 腕の中から彼を見上げると、そこにはドキッとするほど真摯な目で私を見つめている藤司さんがいた。

 何か言わなくては、そう思うのに唇は一切動いてくれない。
 戦慄く唇は、彼の指に押させられてしまい、ますます動けなくなってしまう。

 目を見開いて驚く私に、藤司さんは何かを決意するように小さく頷いた。
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