年下御曹司は初恋の君を離さない
「脅しているんだよ」
「へ……?」
「未来が俺の言うことを聞かなかったら……その時点で小華和堂との取引は白紙だ」
「ちょっと待ってください! それは理不尽ではありませんか?」
「理不尽か?」
「理不尽ですよ!」
静まりかえっている踊り場に、私の声が響き渡る。
だが、黙ってはいられなかった。社運をかけたビジネスが藤司さん個人の考えで揺らぐことになるなんて許せない。
それも、そのビジネスと私がせせらぎに行くこと。どう考えても関連性がない。全くないはずだ。
藤司さんに訴えると、彼は首を横に振って私の意見を払いのけた。
「俺がせせらぎの舵取りをしている。社長は甥っ子である俺の意見を尊重しているからな。それは先ほどのやり取りでわかっただろう?」
確かに、藤司さんが友紀ちゃんをせせらぎの社長と対面させたとき、せせらぎの社長はそんなことを匂わすことを言っていた気がする。
となれば、藤司さんの気分次第でこの取引は泡となって消えてしまう可能性もあるということだ。