年下御曹司は初恋の君を離さない
「未来は小華和副社長の専属秘書なんだろう? それなら、上司の邪魔なんて絶対にできないはずだ」
「な、何を言って……」
ようやく唇から彼の手が離れたと同時に震える声を出すと、彼は感情が読めない顔で言った。
「うちと取引したかったら……俺が呼んだら必ずせせらぎに来い」
「は……?」
意味がわからず戸惑っている私を、藤司さんはようやく腕の中から解放してくれた。
そのことにホッと胸を撫で下ろすものの、また新たな謎と不安が込みあげてくる。
毎日せせらぎに来いということは、一体どういうことなのだろう。
私は副社長専属秘書である。せせらぎに赴くのは、せいぜい副社長である友紀ちゃんに同行するときだけだろう。
商品開発にしろ、営業会議にしろ、私には全くお呼びはかからないはずだ。
毎回副社長が会議に出席するということならば、私も一緒に行くことにはなるだろう。
しかし、まずそういうことにはならないと思う。
それなのに、私にせせらぎへ来いというのは、どういう了見か。
目を白黒させていると、藤司さんは口角をクイッと上げて意地悪な表情を浮かべた。