年下御曹司は初恋の君を離さない

 ホテルのラウンジで色々と話したが、藤司という男はなかなかにキレ者だった。

 そんな彼は、ふとすると未来さんに視線を向けて寂しそうに、だけどどこか包み込むような視線を向けていたことが印象的だった。
 そして、そんな視線を向けられていた未来さんはどこか居心地が悪そうで……

 二人の様子を見ていれば、昔何かがあったのだろうと簡単に想像できる。
 ただ、残念ながら今の時点ではその〝何か〟がわからない状況だ。

 先週の月曜、久しぶりに残業もなく終えることが出来そうで未来さんを食事に誘おうとしたのだが、速攻で未来さんに断られてしまった。

『スミマセン、今日は用事があるもので』

 どこか後ろめたいことがある様子の未来さんは、そそくさと副社長室を出て行ってしまったのだ。

 その日は、「用事なら仕方がないか」と、あまり深くは考えず彼女を見送った。
 だが、そんな余所余所しい態度は日を追う事に酷くなっていく。
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