年下御曹司は初恋の君を離さない
未来さんは仕事命でやってきた、所謂バリキャリだ。そんな彼女が平日夜に予定を入れるということは今まではなかった。
副社長である俺はイレギュラーに仕事が入ることが多い。定時で帰ることができないなんて多々ある。
そんな俺の専属秘書をしている未来さんは、残業があっても柔軟に動けるようにしてくれていた。
だが、先週の月曜日から退勤時間が近づくにつれてソワソワしている彼女に気がついていたのだ。
俺からの誘いをすべて断り、「用事があるので」と帰って行ってしまう未来さん。
痺れを切らした俺は、今朝未来さんに問いかけた。
『何か隠していない?』
壁に未来さんを押しつけて身動きが取れないようにして聞いたのだが、クールな秘書の顔でスルーしてくる。
それに苛つきを隠せなかったが、冷静さを失えば彼女の口はますます閉ざされてしまうだろう。そう考えた俺は包囲網を少しだけ緩め、ほほ笑みかけて彼女の頑なな態度をほぐそうと必死になった。
しかし、もっと深く聞こうとしたときに内線が入り、その話は中断してしまったのである。
そうこうしているうちに、社長に未来さんをかっ攫われて今に至るということだ。