年下御曹司は初恋の君を離さない

 だけど、俺がすぐさま「戻しておいて」と未来さんにお願いしているため、こういう場面に彼女は慣れている。だけど……
 少しぐらい驚いてくれてもいいのに、と唇を尖らせたくなってしまう。

 ニヤニヤと意味深な笑みを浮かべた父さんは、俺の方を見て楽しげである。

(このくそジジイ。どうしてくれよう……!)

 この場で殴り飛ばしたくなるのをグッと堪え、盛大にため息を零した。

「で? 相手は?」
「ん? 気になるか?」

 俺がイライラしているのがわかっているのだろう。父さんはいそいそとお見合い写真を広げだした。

 真っ赤な着物を身に纏った女性は、しとやかにほほ笑んでいる。
 だが、見覚えはない。一体、この縁談をどこから持ってきたのか。再びため息が零れてしまう。

 そんな俺の様子を見て、これまた嬉しそうにしている父さんは釣書も広げだした。
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