年下御曹司は初恋の君を離さない

 意味不明なこのやり取りは、いつまで続くのだろうか。それに、藤司さんは謎をいくつも抱えすぎている気がする。
 それを私にいつか教えてくれるつもりはあるのだろうか。

 そんなことを思いながらも、私は藤司さんと肩を並べて駐車場までの道のりを歩いて行く。
 すると、藤司さんが突然立ち止まった。目を見開いて、何かに驚いた様子でもある。

「藤司さん?」

 声をかけたときには、私は藤司さんの腕の中にいた。ギュッと抱きしめられ、彼のフレグランスの香りが鼻を擽る。
 彼の体温が伝わってきて、ようやくこの状況のおかしさに気がついた。

「ちょ、ちょっと」

 彼の腕の中から脱出を試みようとしたのだが、すぐさま強い力で抱きしめられる。

「シッ。黙っていろ」
< 258 / 346 >

この作品をシェア

pagetop