年下御曹司は初恋の君を離さない

 先ほど紀彦に連絡をして確認してもらったが、未来さんはやはり男に送ってもらっているようだ。それも毎日のように、ここ三週間ほど。
 そして、それは毎回同じ車で、同じ人物が未来さんを送り届けている。紀彦はご丁寧に毎日観察を欠かさずしてくれていたのだ。

 なんだかんだ言っても、姉である未来さんのことが心配で心配で仕方がないのだと思う。
 そんな紀彦の気持ちを無碍にできないという思い、そしてなんとしても未来さんのことを守りたいという願いから、この数日間グッと我慢を重ねて情報を集めてきた。

 だいぶ前から藤司が未来さんに接触していることは気がついていた。
 未来さんの様子がおかしくなったあの頃から、薄々と勘づいてはいたのだ。

 だが、キチンとした情報を掴むまではうかつには動けない。そう思って、本当はものすごくイヤだったのだが、未来さんが藤司の所へ行くことを止めたりはしなかった。

 ただ、情報が集まるにつれて未来さんを藤司の近くに行かせたくはないと歯ぎしりをする毎日ではあったのだが。
 今夜、ようやく藤司の前に現れることができたのは、すべての情報と未来さんを脅かす人物の特定、そして危惧される事柄について把握できたからである。
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