年下御曹司は初恋の君を離さない
私は顔面蒼白のまま、未だに顔を真っ赤にして俯いている友紀ちゃんに恐る恐る声をかけようとする。
しかし、その声は必死すぎる友紀ちゃんの声にかき消されてしまった。
「今は、未来さんにさよならって言います。だけど、日本に戻ってきたときには、もう一度告白させてください」
「あのね、友紀ちゃん」
少し落ち着かせようとしたのだが、彼女は真摯な眼差しで私を見つめてくる。
その瞳があまりに真剣で、私は口を閉ざした。
「今は返事を聞きません。私が再び未来さんの前に現れたときに返事をください」
友紀ちゃんの真剣な思いが伝わってきて何も言えない私に、彼女はいつもの可憐な笑みを浮かべた。
久しぶりに見る、とびっきりの笑顔だった。
「もし、未来さんが誰かのモノになっていたとしても、奪い取るつもりです」
「あ、あのね。友紀ちゃん」
「覚悟してくださいね。では、また。元気でいてくださいね」
言いたいことは言ったとばかりに、友紀ちゃんは踵を返した。
その潔いまでの行動に一瞬呆気に取られていた私だったが、慌てて我に返る。
「ちょ、ちょっと待って! 友紀ちゃん」
これではいけない。このままでは色々な誤解を抱いたまま、留学先へと行かないといけなくなってしまう。
そう思って慌てて声をかけたのだが、あっという間に走って逃げてしまったのだ。
慌てて追いかけたが、残念ながら彼女を見失ってしまった。