年下御曹司は初恋の君を離さない
友紀ちゃんが九州に出張に出たのは、一週間前だった。
最終便で九州に入って翌日早朝に農家さんへの挨拶、工場の視察と続き、陽が昇っているうちに東京に戻ってくるという強行突破のとんぼ帰りという行程だったために、私は同行はしなかった。
私は会社で待機して彼の留守を守っていたのだが、彼が会社に着いたときの開口一番が『さぁて、未来さん。今後仕事終わりに副業をするのは禁止ですからね』だったのだ。
副業なんてやっていない、と反論したのだが、彼は鋭い視線で私を見つめてきた。
『言い方を間違えたかもしれないですね。副業ではなく、就業時間後の残業は認められませんよ。例えば……会社のため、仕事のためになるからと他企業の人に誘われて商品開発の手伝いをする……とか?』
『っ!』
友紀ちゃんの言葉を聞いたとき、背筋に冷たいものが走った。ようするに、友紀ちゃんは何もかも知っていたということだ。