年下御曹司は初恋の君を離さない

『とにかく先方には話をつけてありますので、未来さんは今後行く必要はありません』

 厳しい表情でピシャリと言われてしまい、それ以上は何も言うことができかった。
 すると、友紀ちゃんの表情は打って変わって穏やかなものに変化し、私の耳元で囁いたのだ。

『ただ、未来さんには新たな仕事をお願いしようかと思います』

 なんのことだと思っていたら……友紀ちゃんが毎日私を送り迎えするという内容だった。

『これは私の仕事じゃないです! 副社長の仕事が増えただけでしょう!? そして、私を毎日送り迎えする必要がありますか? 絶対にないです。必要ありません!』

 そう言って反論したのだが、友紀ちゃんは『まぁまぁ』と私を宥めるだけで、話などしっかり聞いてくれないのだ。

 その上、蓋を開けたら送り迎えだけでは終わらず、なぜか友紀ちゃんが我が家で寝泊まりすることになっていて目眩を起こしそうになった。
 知らぬは私だけで、すでに私の家族には了承済みという根回しの早さ。つい先ほどまで九州に出張に行っていたとは思えないほどの早業だった。

 仕事ができる人間だとわかっていたが、こういうプライベートに関してもその能力は発揮されるようである。
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