年下御曹司は初恋の君を離さない


「そう言っていただけると、嬉しいです。これ、先ほどお花屋さんで作ってもらったんですが、こちらのお部屋に置かせていただいても大丈夫でしょうか? もし、ご無理でしたらご迷惑かもしれませんが、征子さんにご自宅へお持ちいただけたらと思うのですけど」

 そう言って二人に差し出したのは、ガーベラを主にしたフラワーアレンジメントだ。
 自分の父と同じぐらいである年上の副社長には可愛らしすぎるかもと思ったが、この花たちを見て気分が少しでも明るくなってくれたらいいなぁと願って買ってきた。

 私が差し出したフラワーアレンジメントを、征子さんがにこやかにほほ笑んで受け取ってくれた。

「まぁ、可愛らしいお花だこと。未来さん、ありがとう」
「いえ、お気に召していただけて良かったです」
「うふふ、私が貰って帰っちゃおうかしら」

 征子さんが意地悪な笑みを浮かべて言うと、副社長は眉間に皺を寄せた。

「ダメだよ、征子ちゃん。その花は未来さんが僕へプレゼントしてくれたんだからね」
「はいはい。貴方のお気に入りの未来さんからのプレゼントですものね。ああ、もう。そんなふうに僻まないの」

 冗談まじりで小気味よく会話を繰り広げるご夫婦を見て、思わず目尻に皺が寄る。

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