年下御曹司は初恋の君を離さない
頭ではわかっていたことだし、副社長はそう決断するのではないかと杞憂していたことは確かだ。
だからこそ、心構えができていると思っていた。
だが、こうして直接副社長の口から言われると堪えている自分がいる。
視線を落とした私の肩に、副社長の手が触れた。
驚いて顔を上げると、副社長はいつもの朗らかな笑みを浮かべていた。
「未来さん。次の副社長を支えてあげてくれるかな?」
「……副社長?」
「次の副社長は、私の甥に決定した」
「副社長の甥ということは、社長の息子さんということですか?」
「そうだよ」
まさか、社長の息子にポストを譲るとは思っていなかった。
順当にいけば、専務が付くのではないかという予想だったからだ。
もしくは、副社長の息子という可能性もあった。
だから、そこに社長の息子が副社長ポストに座ることになるとは予想もしていなかったのだ。
社長の息子とは、一度も顔を合わせたことがない。
なんでも、学生時代にアメリカへと留学して誰もが知っている有名大学へと進学。
そのまま他企業で修業をしているという噂だけは聞いていた。
小華和堂の内部を知らない人間が、副社長ポストに就くことができるのだろうか。
眉間に皺を寄せて考えこんでいる私に、副社長は懇願してきた。