年下御曹司は初恋の君を離さない
「私で新副社長の補佐ができるでしょうか……?」
思わず胸の内を言葉に出してしまった。
新しい人間が重役につけば、会社はまた変わる。
その変化に私はついていけるだろうか。
今までは、穏やかで抱擁力がある副社長だったからこそ、私は仕事ができていたと思う。
そんな私が、小華和堂で働いたことがない人物の補佐をすることができるだろうか。
そんな不安が脳裏を渦巻き、先ほどの発言に繋がってしまった。
慌てて口を押さえたが、副社長はそんな私を見て満足するように頷く。
「そういう不安を抱ける、未来さんに頼みたいんだ」
「え?」
「君は立派に私の秘書をしてくれていた。その自信はきっとあるはずだ。スキルだって立場だって確固たるモノを築き上げていると思う」
「……」
「でも、君は決して傲らない。そこがいいと思っているよ」
「副社長」
「新しい副社長を、君に支えてもらいたい」
どうだろうか、と再度懇願されると、断りづらくなる。
もとより、会社が決めた方針なら、私がとやかく反論しても押し通してくることだろう。
それに、副社長がこんなに強く私に新副社長秘書をしてほしいと望んでいるのだ。
引き受けないわけにはいかないだろう。
秘書部長からの声かけでなく副社長自ら私に打診してきたのは、私にどうしても引き受けさせたいという意向があったからこそだと予想できる。
私は小さく息を吐き出したあと、キュッと唇を横に引いた。