年下御曹司は初恋の君を離さない
それなのに……今、彼はどうして昔のことを掘り返したのだろうか。
まさか……まさか、未だに私のことが好きなんてことはないはずだ。
今、私はパンツスーツを着ている。女性らしく装いをしたり、スカートを穿いたりなどはしていない。
だが、メイクもしているし、昔の私とは違うはずだ。
中性的な雰囲気は残っているとはいえ、さすがに女性だとわかってもらえていると思う。
(いや、わかっていないのかもしれない!!)
血の気がサッーと引いていく。
未だに私のことを男性だと勘違いしている可能性が高い。
いや、でも待って?
友紀ちゃんが私に告白してきたときは、見た目は男だった。
そして、私が勘違いをしていたが、友紀ちゃんは男性だったのだ。
もしかして、友紀ちゃんは同性しか愛せない人なのかもしれない。
ん? いやいや、でも今の私はとりあえず女に見えるはずだ。
女性としての色気は皆無かもしれないが、この格好でさすがに男性に間違われることはないだろう。というか、間違わないでほしいと切に願う。
じゃあ、どうして友紀ちゃんは未だに私に向かって好意を向けてくるのだろうか。
ああ、もう!! 何が何だかわからないじゃないの!!
一人赤くなったり青くなったりと忙しい私を見て、友紀ちゃんはクスクスと楽しげに笑った。
「未来さん、めちゃくちゃ混乱しているでしょ?」
「し、してるわよ……なによ、これ。どういうこと?」
依然、私は友紀ちゃんに顎を掴まれたままだ。
その状況にも戸惑いが隠せない上に、今頃になって八年前の真実が私を混乱に陥れていく。
それに、混乱しすぎて忘れていたが、彼は今や小華和堂の副社長だ。
それに、私のボスになる人物でもある。こんな口調で話していいわけがない。