年下御曹司は初恋の君を離さない
「本当? 本当にそう思ってくれていますか?」
「ほ、本当よ?」
何度も首を縦に振ると、彼は安堵したように肩から力を抜いた。
「それなら、この八年間の努力が報われた気がします」
「え?」
目を何度か瞬きをして彼を見上げると、ニッコリと満面の笑みをされてしまった。
「言いましたよね? 未来さん」
「え? な、何を?」
もう一度瞬きをする私に、友紀ちゃんは目を細める。
その様子は、獲物を仕留めるときの鷹のように強い眼差しだった。
「日本に戻ってきたときには、もう一度告白させてもらうと言ったでしょう?」
「あ、えっと」
確かにそんなことを言っていた。
言っていたけど、あれは本気だったのだろうか。
そして、今もその気持ちは継続していると言うつもりなのだろうか。
私は狼狽えながら、友紀ちゃんを恐る恐る見つめる。
視線が合うと、彼はとても嬉しそうに目尻を下げる。
「誰かのモノになっていたとしても奪い取るって。言いましたよね?」
「あ!」
私が小さく驚きの声を上げるのと同時に、彼の唇が私の唇を捕らえた。
柔らかい感触に私は思わず目を見開いてしまう。
彼の長い睫がしっかりと見える。それほど至近距離に友紀ちゃんがいるということだ。
いや、至近距離なんてものじゃない。ゼロ距離だ。
私と彼は今、唇と唇で繋がっている。