翼の折れた鳥たちは
「ねぇ、葵ちゃん」
いつものように右足の関節可動域訓練を始めて、しばらくした頃それまで黙りこくっていた敦也くんが力無げな声でしゃべり始めた。
「向かいのベッドの園田さん。俺が入院してからずっと動かなかった」
「うん。寝たきりだったもんね」
「喋りもしない、動きもしない。だけど、いつも規則正しい呼吸の音がしててさ。それで、夕方になるといつものように家族が会いに来る」
敦也くんの言葉に相槌を打ちながら、静かに聞く。
「『今日はいい天気だよ』だとか、『ヒゲ剃ってもらって良かったね』とか。園田さん、返事なんてしないのに、家族はいつも手や足をさすりながら話しかけるんだよ」
「園田さんの家族、いつも会いに来られてたもんね」
いつものように右足の関節可動域訓練を始めて、しばらくした頃それまで黙りこくっていた敦也くんが力無げな声でしゃべり始めた。
「向かいのベッドの園田さん。俺が入院してからずっと動かなかった」
「うん。寝たきりだったもんね」
「喋りもしない、動きもしない。だけど、いつも規則正しい呼吸の音がしててさ。それで、夕方になるといつものように家族が会いに来る」
敦也くんの言葉に相槌を打ちながら、静かに聞く。
「『今日はいい天気だよ』だとか、『ヒゲ剃ってもらって良かったね』とか。園田さん、返事なんてしないのに、家族はいつも手や足をさすりながら話しかけるんだよ」
「園田さんの家族、いつも会いに来られてたもんね」