翼の折れた鳥たちは
一瞬、前田さんと師長が私に目配せをしたから、私もその意図を理解したという意味で頷く。


「じゃあ、敦也くん。私と前田さんはこのあたりで試合が終わるの待ってるから。何かあったらすぐに星原さん連絡してね」

なかなか言い出せない私を、待ちきれなかった様子の師長が口を開く。

「はっ?何で?師長と前田さんの席だって準備してあるんだろ?」

意味が分からないという様子で敦也くんが師長に疑問を投げかける。


「あのね、敦也くん。実はずっと黙っていたんだけど……」


「敦也っ!!」

私が話を始めた瞬間、通路の向こうから大きな声で呼びかけられたその声に、私の話は遮られてしまった。

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