翼の折れた鳥たちは
◇◇◇
「昨日、チカラがお見舞いに来てくれて……」
バスケ観戦を境に、敦也くんの病室には彼の友達が代わる代わる出入りするようになっていった。
敦也くんは後ろ向きの発言は一気に減って、最近リハビリ中の話題はTVや雑誌のことや友達とのことが増えてきた。
まだ敦也くんの携帯電話は電源を切られたままベッドサイドに無造作に置かれているけれど、電源が入る日もそう遠くはない気がする。
たくさんの友人がお見舞いに訪れる中でも、親友のチカラくんはよくリハビリ室にも顔を出して、敦也くんの自主練に付き合ったりしている。
「あぁ、部長がね。チカラくんとても勉強熱心だって褒めてたよ」
「本当?あいつ喜ぶだろうな。あっ、でもなんか悔しいから教えないでおこうかな」
私の言葉に、敦也くんの表情がパァッと明るくなる。
チカラくんも理学療法士を目指す学生で、実習の合間を見つけては敦也くんに会いに来ている。
この間は、実習の状況を尋ねた部長に熱心な表情で運動学の質問をぶつけてたんだった。