翼の折れた鳥たちは

♪悲しい色した世界が こっち向いて笑ってる
 鉛色した空が 希望なんて隠してる

屋上で思わず口ずさんだ曲があまりにも暗い歌詞だったから、途中で歌う気力もなくなってしまった。


「なんで、歌止めたの?」

後ろから急に声をかけられて私は思わず身体を強ばらせる。

いつもこの時間は誰もいないはずの屋上で、聞き慣れない声に私はゆっくりと声のしたほうを振り返る。


「チカラくんっ!?」


声の主は、敦也くんの親友のチカラくんだった。

「どうしてこんなところに?!ここは職員以外立ち入り禁止になってるはず……」

素っ頓狂な声をあげた私に、チカラくんは人差し指を口元にあてて喋ることを制する。


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