翼の折れた鳥たちは
敦也くんは私にペットボトルのお茶を手渡すと、近くにあったベンチに腰を下ろす。

チカラくんは敦也くんと違って、クールな雰囲気でその落ち着いた様子は私より年下には思えない。

「敦也のお見舞いに来たら、屋上から歌が聞こえたから。この世の終わりかと思うほど暗い歌詞の歌」

私より年下なのに随分と落ち着いている様子のチカラくんが、持っていた缶ジュースのプルタブを開けて、一口喉に流し込む。


「聞こえてた?」

ベンチに座ったチカラくんの隣に、ゆっくりと腰を下ろしながら尋ねる。

「聞こえてたっていうか、聞いてた。敦也と一緒に」


あぁ、敦也くんはこの時間いつもテラスで自主練してるんだもんね。


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