翼の折れた鳥たちは
「敦也くんに感情移入しすぎたのかな。車いすバスケに興味持ってくれたことが嬉しくって一緒に見に行きたいなって思ったの。公私混同ってやつだね」


ははは……

乾いた私の笑いが、チカラくんとの間に虚しく響く。


「でも私は敦也くんの担当理学療法士でしかないから、これから先の外出は敦也くんのご両親にお願いしないとね」

わざとらしく肩を竦めた私を、切れ長の目を細めるようにしてチカラくんが押し黙ったまま見つめている。


「チカラくんも心配させちゃってごめんね。敦也くんにもありがとうって伝えておいて。もう私は大丈夫だから」

無理矢理口角を上げて作った笑顔をチカラくんに向ける。

「私はもう少し、ここで頭冷やして帰るから。チカラくんはもう行って。他のスタッフに見つかると大変だよ」

チカラくんにドリンクのお礼を伝えて、そう伝えるとチカラくんは一瞬眉間に深い皺を寄せる。


< 214 / 290 >

この作品をシェア

pagetop