翼の折れた鳥たちは
「正直に言うと、星原さんがこの病院に入職してから、少なくとも僕は一度も理学療法士としての貪欲さを君から感じたことはない」


図星だった。返す言葉が見つからない。

胸が締め付けられるように苦しい。

思わずテーブルの下で拳をギュッと握りしめた。


いつもは優しい部長から出た厳しい一言に、下唇を噛んだ私をよそに部長は淡々と話を続ける。


「さて、うちのリハビリ部が今後365日毎日リハビリの提供が出来る様なシステムに変更しようという話は聞いたかな?」

「ハイ」

私は小さく頷きながら答える。

「365日毎日リハビリを提供するシステムは、患者にとって大きなメリットだ。だが、毎日のリハビリ提供となると、僕たちはこれまでのカレンダー通りの勤務からシフト制の不定休となる」

シフト制の不定休。

なんだか嫌な予感がする。ううん、嫌な予感しかしない。


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