翼の折れた鳥たちは
「もしも、オーディションに受かったら?」
受かったら……。
受かったらどうするんだろう、私。
口ごもった私に、部長は呆れたようなため息を吐きだした。
受かったらなんて考えたことなかったけれど、落ちた時には毎回、何が悪かったんだろうって、今度はもっと、って思ってはいたんだけどな。
部長のため息が私の心をさらに重たくする。
「若い頃の話をするのは、あまり好きじゃないんだけど」
部長は言葉を選ぶように、ゆっくりと喋りだす。
「僕の若い頃は、理学療法士になったから、就職したからそこで終わりだとは思わなかった。目の前の患者をどうにかして治したい。手技が上手になりたい、もっと知識を増やしたいだとかもっと貪欲だった」