混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
『酔えそうにない』

 ……乾杯した時、イライザは確かにそう考えていた。

「はいはい、飲んで飲んでー」

 既に、ウィスキーに変わり、空きボトルが何本も転がる状況で、三人と言わず、『転がる子豚亭』全体を巻き込んだ大宴会になっていた。

 ガブリエルも、上機嫌で杯を干し、見知らぬ酔っぱらいと、乾杯している。

 リリはステージに上がって陽気に踊り、女将はしっかりと注文を伝票に書きつつも、サービスと称してあれこれ余計に出してくれている。

 道行く人たちも、賑やかな店内に惹かれて、覗いて見て、そのまま混ざる者もいる。

 イライザも、完全に酩酊、のち上機嫌で、初対面の相手と次々に乾杯した。すでに、どれほど杯を重ねたか、覚えていられないほどに。

 しかし、突然のお祭騒ぎを快く思わない人間というのは、いつでもおり、とても無粋な
やり方で、『それ』は成された。
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