朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
玄関先で蒼さんを振り返る。
「ごちそうさまでした」
「またゆっくり来いよ。それから流夜。うちはいつでも歓迎するからな?」
「あ、……転任の件ですか?」
流夜くんは否定していたけど、蒼さんは本当に来てほしいんだな。
「初任から桜学(うち)に来いつってんだけどな」
「絶対行かねえ。俺は天科サンにも十三にもつかない。お前らの喧嘩には巻き込まれたくない」
流夜くん、この話になると途端に子供っぽい喋り方になるのが面白い。
「華取さんについている、お前がいてくれるとバランサーになってくれそうでちょうどいいんだけどな」
「ヒトをなんだと思ってんだ」
流夜くんの言葉に、蒼さんがくすくす笑う。
……十三桜のお話を聞くとき、流夜くんたちのお話も聞けるかな。