朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
私が準備するのを待って、流夜くんは蒼さんに「また」とだけ告げて先を歩く。
私が「お邪魔しました」と頭を下げると「気をつけてな」と返事があった。
「――流夜。うまくやれよ?」
「………」
流夜くんは少しだけ蒼さんを顧みた。
「当然」
流夜くんが私の手を握って、神林のお家を辞した。
最後の蒼さんの言葉の意味がわからなくて、流夜くんを見上げる。
「どうした?」
「さっきの――蒼さんが言ってたの、どういうこと?」
「ばれないように上手くやれ、じゃないか?」
「何を?」
「……あいつも俺の同業者だから」
「―――あ」
そういうことか。
「……すみません……」