朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「? あの人って?」
「……ごめんなさい。今日、《白》の駐車場で、仲好さそうに……はなし、てた……」
そこでまた嗚咽に紛れて声が消えてしまった。
こわい。答えを、知るのが。
でも……黙ったままにも、出来ない……。
流夜くんからは、不思議そうな声で返事があった。
「……誰だ? そんな奴いないけど……」
「い、いたでしょ。すっごく綺麗で可愛い女の子!」
「いや、そんな奴本当に俺の周りには咲桜ぐらいしかいないんだけど……」
「は、はぐらかさないで。絆さんだって可愛いじゃん」
「あいつをそう見ろって大分無理な話なんだが……ちょっと待て? 《白》にいたのは……バカか?」
「……は?」
な、なんだって?
「斎月(いつき)と書いてバカと読むバカなら、一人いる」
「………」
涙、止まった。