朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


「ううん……。その、仲好さそうだなー、って。あと、頭撫でてたり、とか……」


「は? そんなことするわけないだろ――」
 

流夜くんの言葉が終わる前に、聞き心地のいい声がした。


「流夜兄さん――」
 

鈴のような綺麗な声。


息を切らせて二人の前に姿を見せたのは、先ほどの少女だった。


「斎月」
 

いつき。肩がぴくりと跳ねた。


いつきさんは、流夜くんを見て目を吊り上げた。


ダンっとテーブルを叩く。


「主咲(つかさ)くんとこ行く途中だっつっただろうバカ兄貴! なんで呼び戻すんだよ!」
 

いきなり怒られてびっくりした。


流夜くんは驚いた様子はなく同じ音量で怒鳴り返した。


「お前の所為でややこしいことになってんだ! 主咲んときにごちゃごちゃしたのも俺が解決してやったんだろうが! ちったあ協力しろネコガキ!」


「ここで喧嘩すんなつってんだろーがガキ共」
 

ゴチンッ


「「~~~」」
 

喧嘩両成敗。龍生さんに、お互い頭突き喰らわせられた。
 

流夜くんもいつきさんも蹲っている。


りゅ、龍生さん本気でやったんじゃ……。

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