朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


「わりーな、娘ちゃん。こいつは大和斎月。ほれ流夜、ちゃんと紹介するために呼んだんだろ」
 

流夜くんは不満百パーセントの顔で斎月を睨んだ。


「大和斎月。清める意味の、『斎み』に『月』って書く。中三。アメリカの大学の同期。今は同業者。簡単に言えば弟」
 

………。


「待って! 色々訊きたいことだらけだけど全く簡単に言い表せてないよ⁉ 女の子なんだよね⁉」


「最初は男だったんだ」


「さいしょ? やっぱり――何か手術的なことをされた、とか……?」
 

声を濁らせる私に、斎月さんはいや、と手を振った。


「そういう意味じゃないです。アメリカでは男として育てられていて、流夜兄さんも最初は私を男だと思っていたってことです」
 

お、男として……? 流夜くんが、憮然とした表情で続けた。

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