朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


「しかも女子共から逃げてる最中にカミングアウトされてよ。一瞬こいつにも引いた」


「男っぽい振る舞いしてただけだろ」


「その口調も直せ! 主咲が俺に文句言ってくんだよ!」


「私が口悪い半分は兄さんの所為! 『俺』って言わなくなっただけマシだと思え!」


「うるせーつってんだろ」
 

ゴチンッ


「「~~~~~~~~」」
 

龍生さんの撃(げき)を喰らって、また蹲った。
 

学習しないのかな、この二人……。


総て承知している様子の龍生さんを見上げる。


「龍生さん……?」


「このガキ共いつも兄弟喧嘩上等でよ。斎月の小娘のことは弟扱いで十分だからよ」
 

龍生さんは何でもない風にへらっと手を振った。


「龍生さんほんと痛い……」
 

斎月さんが涙目で龍生さんを見上げる。


か、可愛い……。


……流夜くんには女好きとか散々言われているけど、実際ほのかにときめく瞬間だった。
 

龍生さんは、はっと吐き捨てる。

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