朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「……斎月」
「……なに」
「………話しておくか」
「………主咲くんにも話したし、そっちのが筋だよな……」
と、二人揃ってため息をついた。
それを聞いて、軽く顔をあげる。
この二人、さっきから反応が似ているな……。
だから兄弟なのかな? 口火を切ったのは流夜くんだった。
「これは――本当に誰にも言いたくないから、斎月の男しか知らねえ話だ」
「流夜さんの幼馴染は知ってるかもしれないけど、自分の口から話したのは、咲桜さんで二人目です」
真剣を通り越して深刻そうな二人の話し方。
な、なんだその秘密感は……。聞いていいのかな?
私が動揺から不安を言葉に出来ないでいると、流夜くんが重い口を開いた。
「斎月はアメリカでは男だった。それが……最悪だったんだ……」
今度は二人揃って頭を抱えて机にうなだれた。
だからさっきから兄弟のようにそっくりすぎる。
「何が、あったの……?」
そう訊くしか、選択肢がなかった。
二人の声が重なる。
「「学内の女子生徒に襲われたんだ……」」