朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「…………え?」
呆然とした返事しか出来なかった。
二人は遠い目になる。
「そんなに日本人が珍しかったのかな……」
「集団になって追いかけてきてな……斎月と学内逃げ回って隠れ場所を転々としながら一日が過ぎるのを待ったんだ……」
「…………」
取りあえず、沈黙。
どういう事態?
当時は男の子と認識されていた斎月さんと、中学生の流夜くん。
この二人がつるんでいれば確かに目立つだろう。
成績優秀だそうだし、色んな意味で。
それが……なんだって?
「襲撃という勢いで襲撃されてなあ……」
「女子相手だから殴るに殴れなかったし……逃げるしか出来なくて……」
………。本当に襲われたのか。
様子からして、意味的には色事意味合いなんだろうけど……。
はあ、二人は同時にため息をついた。