朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
流夜くんと斎月がいる世界にとっての二人。
お互いにとっての兄弟。
流夜くんはバツが悪そうに答えた。
「……今のところは、な」
「すみませんが、誰とは代われないですね」
――とん。答えを聞いて、私は胸の前で両手を合わせた。
合図のように鳴った音。
「わかりました。斎月へのやきもちは今で終わりにします。二人にしか出来ないことなら、やり切ってください。たぶん、救われる人も掬われる人も、たくさんいると思うから」
桃子母さんも、そうやって在義父さんや龍生さんにすくわれてきたのだろうから。
私が、流夜くんに心を掬い上げられたように。
「……ごめんな?」
「謝ることじゃないよ。……私は、送り出す側にいてもいい?」
「勿論。ちゃんと咲桜んとこ帰るから」
「なら、大丈夫。がんばって。応援する」
「……ああ」
流夜くんがくすぐったそうな笑顔で、私の頭を撫でた。
「……咲桜姉様に出逢われてよかったねえ?」
斎月のにやにやした声に、はっとした。