朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「――笑満ちゃんと、お付き合いさせてもらっています。認めていただけますか?」
本当は、もっとずっと先に言うつもりだった言葉。
でも、ずっと先は今だった。
生満子さんと憲篤さんはわずか沈黙した。
言葉のない空間が痛い。過去と今では、全然違い過ぎるのか――
「……ぼくたちを、ちゃんと頼れる?」
「……え?」
「あの時ぼくたちは遙音くんに何も出来なかった――けど、その申し訳ではなくて、困ったときとか、辛いときとか、笑満の恋人として、ぼくらを頼る事が出来る?」
「―――」
笑満ちゃんの恋人として、笑満ちゃんの家族を。
「……頼、っても……いいんですか?」
気の抜けたような俺の問いに、生満子さんは苦笑した。
「当り前でしょう。笑満の彼氏なら、あたしたちの家族になるかもしれないのよ? 家族を頼らないでどうするの」
「……かぞ、く……」