朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「え? あ、うん。なんかお仕事がー、て電話来た」
珍しく歯切れの悪い言い方をしていた。そんなに慌ただしいのかな。
テレビでニュースは見ていたけど、火急の事件はないようだったけど。
「ほんとは、今日一番に言いたかったんだけどな」
「一番? おはようとか?」
「………」
流夜くんが押し黙った。あれ? 変なこと言ったかな? なんだか沈黙の仕方が妙だ。
「……咲桜、今日は何の日だ?」
「流夜くんの誕生日前日」
……あ。言ってしまった! しかもまだ流夜くんのアパートへもつかない道中の微妙な場所で!
今日はどこか出るかと言って来た流夜くんだったけど、私の希望でお出かけはナシになったのだった。ケーキ、大事に持っている。
流夜くんは間の抜けた顔をする。